45歳からの腐”活動

主にBL本の読書感想を書いています。たまにソロ活も。

月村奎先生①

こんにちは。八櫻🐰です。

昨年(2023年)の5月に初めて手にした月村奎先生の本。冒頭からスッと流れ込んでくる文章で、一気にファンになりました。初めての本は図書館本でしたので30年ほど前の作品ですが、とても、とてもよかった!その後もコンスタントに読み進めております。

 

1、W I SH

孝之(23、小学校教師)✖️尚也(20、学生)

孝之は尚也の先輩でもあり、尚也の弟、裕一郎の担任でもある。

尚也兄弟は両親を亡くしていて二人暮らし。バイトと学校の両立、時には親としての振る舞い、親戚との付き合い。20歳の学生には重すぎるものを背負い、爆発寸前。

そんな尚也を温かく見守る孝之。お互いにずっと前から惹かれあっていて。。。

 

随所にグッとくるセリフがあり、孝之の言葉も思いも優しさに溢れています。尚也のバイト先、バーのママの存在もとてもよかったです。

W I SH



2、きみの処方箋 (ディアプラス文庫)

智朗(17)✖️克巳(18)

同じ高校に通う2人は同じ家に住む家族。

智朗は母子家庭で育ち、母を亡くした後伯父に引き取られる。そこには朗らかな伯母と5歳の妹がいた。心臓を患っている兄の克巳は実は出生に秘密があり…

 

克巳くんの明るい振る舞いに助けられながら読み進めました。病気とは思えないほど前向きで素直。後半川に飛び込むシーンがありますが、怖いもの知らずのスリルのある描写でした。痛いよぅ😭

頑なな智朗も、克巳の表に出さない苦労を知り歩み寄ります。そのぎこちなく初々しい雰囲気にキュンとしました。

きみの処方箋



3、Spring has come!

耕平(23、惣菜屋を営む)✖️大輔(高3、父子家庭)

両親が離婚をして家事全般を請け負っている大輔。家族のことを考えて行動するのが常で、進路先も地元に残ることに。家族の犠牲になっていることで鬱屈が溜まり、不機嫌で暮らす毎日。

たまたま訪れた駅前の惣菜屋で耕平と出会う。彼はいつもニコニコと楽しそうにお客さんと冗談を言い合う朗らかな青年。

そんな悩みもなさそうな耕平の過去を知り、対話を重ねていくうちに大輔の気持ちもほぐれていく。

 

犠牲になってると思っていたけれど実は信頼されるのを求めていたと知ったり、不満に思っていることは“なぜそうしたいのか?”を掘り下げると、問題はそこになかったり。

人生は選択の連続ですが、選び取ったものに後悔や不満だけを拾い上げているのはもったいないよね、そんなふうに大輔の成長と共に考えさせられた作品でした。

ちなみにえちシーンはほぼなかったですが、きっとこれからゆっくり。。。😁

(文中に福永武彦著「草の花」が登場します。ちょうど同時に借りていたため、運命を感じました!草の花はプラトニックで心の奥深くで人と繋がることを求める青年の話です)

Spring has come



4、恋の恥はかき捨て (ディアプラス文庫)

渡良瀬✖️琳央(大学の同級生)

“王子”と称されるほど完璧な琳央には「やばい性癖」を持っているという秘密が。絶対人に知られてはいけないし、男性に興味があることも隠し通すつもりでいた。

授業の合間に学生寮の自室で自慰をしていたところ、同室の渡良瀬が帰ってきて淫らな姿を見られてしまう。しかも手錠、電動の玩具を使って達しそうな時で。。。

 

190㎝を超えるスポーツマンの渡良瀬。優しく面倒見も良くて男らしいです。元々琳央のタイプで彼を想像しながら…なんてこともしていたくらい。

悩みやすれ違いもたくさんありましたが、幸せの描写はほっこり、いつまでもその世界に浸っていたくなります。

今まで読んだ月村先生の作品の中で(年代が違いすぎるので比べるのは難しいですが)、とっても明るくて幸せな気持ちになる作品です。

恋の恥はかき捨て (ディアプラス文庫)

 

5、もうひとつのドア (ディアプラス文庫)

三夜沢(30代)✖️広海(17)

広海は孤独な青年。母子家庭で毎日母親の機嫌を伺いながら暮らしていたが、いつも疎まれて寂しい思いをするうちに“人を信用しない、期待しない”と育つ。

母親が自殺し、そのヒモだった男に借金返済をするためバイトに明け暮れる日々。

そんな時三夜沢と出会う。三夜沢には6歳になる娘・美生がいて、広海のバイト先のパン屋で顔見知りになる。

 

とにかく歳の差、すごいですよ!!そして三夜沢はエリート建築士、に対して中卒の広海、と格差も半端ない!

無愛想な三夜沢の温かい優しさが物語を支えているように思います。広海は愛された経験がないため人の好意も知りません。けれどそんな拗れた青年を、救いたい愛したい、と思うようになります。

歳の差や生まれではなく、その人自身を見る目に感動しました。ドアは一つではないのですね。

もうひとつのドア (ディアプラス文庫)

 

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月村先生の作品は、家庭環境によって拗れた若者がたくさん出てきます。そして周りの大人たちも時に拗れた発言をします。その辺りに共感することが多く頷きながら読書をしています。

 

まだまだ読みたいタイトルがあるので手元にお迎えしたいな、と思っています。しかし…読んで読んで〜〜〜って積んでいる子たちもたくさんいるので、それも読みつつ( ´ ▽ ` ) 買っちゃおぅ😁