こんにちは。八櫻🐰です。前回の続きです。
他人だと思ったから、仕方ないと思って見殺しにした。それが最愛の妻子だとは想像もせず。自分自身の想像力の欠如、他者への思いやりのなさが妻と娘を殺した。(尾上)
傭兵として世界中の戦いに加わっていた尾上雄一郎(37)は、ある戦争中に自分をかばってくれた仲間の死の瞬間、異世界へ飛ぶ。
そこでは雄一郎は女神様と呼ばれ、国の内乱を収めなくてはならない。その上、王の子を産まなければいけないという使命が与えられる。
最初は頑なに認めず元の世界へ帰りたい、そのためならさっさと子供も産んでやる、という覚悟だった。
しかし、次期王であるノア、雄一郎のそばで仕え捧げるテメレアと共に戦い、関係も築いていくうちに閉ざされた心がだんだんと開いていく。
冒頭のセリフは、愛した家族を見捨ててしまった自分の浅はかさを許すことができず、これ以上傷つきたくないから誰も愛さない、こんな想いは2度としたくない、と戒めています。
こんなに酷い状況は想像すらできません。しかし日常でも想像力のなさはいくらでもあると思うのです。
いつも自分中心で、相手の立場に立つことすらできないわたしが、思いやりを育むにはどうしたらいいのでしょう?40代後半に差し掛かった自分に、優しさを備えることができるのかな。
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世界を憎み破滅的な考えをし、2度と愛する人なんてできないと思っていた。でも…
テメレアが自分をかばって銃に撃たれた!手当をしたがもしかしたら助からないかもしれない。だめだ、そんなことは絶対に!!
一命をとりとめたテメレアとノアの前で涙を流す。2人がいない世界は耐えられない。でも過去が自分を押しとどめてしまう。愛するのが怖い。
戦場にいながら自分の気持ちを話す雄一郎。やっと思いを口にすることができた、という時に元の世界へ戻ってしまう。
元の世界(日本)で過ごすことで、ようやく自分のやりたいことがわかります。
何度も行き来できるなんて異世界ものでは初めてでしたが、戻ることで見えることもあるということですね。自分の温かな部分を再確認して、誰といたいのか、を優先させました。
そして。お腹に赤ちゃんがいることも確認します。
男性が赤ちゃんを産む、違和感があるのでそのような本には手を出していなかったのですが、この物語ではほぼ抵抗なく読み進めることができました。
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決死の覚悟で再び”愛する人たち”のいる世界へ戻ってきた雄一郎。戦いを終わらせよう。
兄2人の反乱軍に対し、三男ノアは『正しき王』として美しい世の中を目指し戦う。
王族達も運命に翻弄され、それぞれが傷つきながら戦った。やっとやっと終えることができる。
戦争の描写は読んでいてズシリと重かったです。凄惨な場面がいくつもありました。
それでも生きているならやるべきことをやれ、というセリフもありました。
BL的なえちシーンも少なからずありましたが、引き込まれる内容で気付いたら一気に読んでいました。
きっとこのように様々な作品に触れることで、思いやりや優しさ、それから”愛”を感じる人間になれるのでは?と信じています。
ただ一つだけ…いいですか…この作品、ちょっとお高いような気が。。。
もっとページ数あると思ったのにぃぃぃ。
3巻後半は番外編です。こちらで本編のその後も描かれています。
驚くような展開もありますが、雄一郎さんが幸せになってよかったです。
とてもいい作品でした!!