こんにちは。八櫻🐰です。本日のご紹介本はこちら。
安達彰吾(中二)、下校中に拉致される。
気づいたら船の中にいた。それから数十日、停泊するたびに子供が乗ったり降りたりを繰り返す。自分はいつまでたっても降ろされない。この状況はどういう事か?自分は売られていくのか??
やっと外へ出られたはいいが、そこがどこで目的が何かを知ることはなくある屋敷に連れて行かれる。その屋敷の持ち主は、彫りの深い整った顔立ち、日本語も話すイーサンという青年だった。
彼はかわいい男の子を世界中から蒐集するのが趣味の男で、それまでもたくさんの子供を買っていた。
彰吾はその中でも特別。イーサンは東洋人で自分の趣味にあった子を半年間かけて探し、乱暴なやり方ではあるが拉致の準備に半年をかけ、待ち焦がれてやっと手元にやってきた子。
しかし…数十日に及ぶ閉ざされた船上の環境がいいわけもなく、すっかり痩せこけて貧弱な彰吾をイーサンは受け入れられなかった。
彰吾その後体力も回復し、夜の相手も覚えさせられます。イーサンからなんでも欲しいものを与えられるのですが、怖くて本心を隠してしまいます。いい子にしていないと別の場所に売られてしまうか、殺されるか…
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部屋から一歩も出ることが許されずストレスも溜まる。中庭に出たい。自由に外で駆け回りたい。
数ヶ月そんな暮らしを続け、とうとうキレてしまう。イーサンに怒られると思ったがその逆で、成長したって愛想をつかして君を手放すなんて絶対にない、と言われてしまう。
そのうちイーサンと重なっていると体が反応するようになっていく。彰吾はそんな自分を許せなくて、心と体がちぎれそうな思いをする。
興味深い内容ではありますが、この本は感想を書いていいものか迷います。
、、、まだ中学生ですよ!そんな子を性玩具として手元に置くだなんて。
どんな理由があっても拉致をして連れてくるなんて。かわいい子を集めるのが趣味だなんて。
本人の意思は無いに等しく、ただの姿形だけで、好みだけで連れてくるなんて。
あっちゃならないことです。なんだか悲しくなってしまいます。
ただ…きっと世界のどこかではこのような事は行われているのだと思います。知らないだけなんです。だから、フィクションでも知識を得られたとは感じています。
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中巻になっても、相変わらず性玩具である事は変わりません。
それでも。周りにいるのは小さい頃から親がいなかったり、幼くして働いていたり、家族に売られてイーサンの元にいる子がほどんど。
だから生きるために体も差し出すし、奉仕するためにその場にいると知っています。
ただ…彰吾はそのために居るわけでも、仕方なく来たわけでもなく、さらわれたのです。間近に迫る大人に恐怖も覚えるでしょうし、抵抗するのも当たり前だと思います。
生きるためにおもちゃになれ、逆らうな、と言われてもすんなり受け入れるはずがないですよね。
しかし、そうして抵抗するところが逆に気に入られたりします。こんな子初めて、と。
大人って嫌になるくらい勝手ですよね。力でねじ伏せたり思うように扱ったり。
わたしは子供と接するお仕事をしているのですが、時に上から目線で辛辣な物言いをしてしまうこともあります。
そんな時は本当に嫌な気分になるし、自分って何様なんだろ?とか反省するけれど、言動は取り消せないんですよね。
今まで何人の子たちをそうやって嫌な目に合わせてしまっただろうか。と考えると申し訳ない気持ちでいっぱいになります。イーサンたちとやっている事は同じなのかもしれません。
愛情って、この年齢になって育む事は出来るのかな?と漠然と考えてしまいます。
BLは愛情の渦だと思います。それを求めてわたしは沼にはまったのかも知れません。
これから下巻へ向け、イーサンが彰吾を好きになるようですが、本当の愛にどのように近づいていくのか、そのあたりにも注目しようと思います。
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彰吾はイーサンの不興をかってしまい、別の場所に売られるかも、と不安の日々を過ごす。
まだ利用価値があると見せるために、様々な客の相手も意地でこなす。
この様子を見たイーサンは怒りがわき、しかし目の端で彰吾の姿を捉えるだけで安堵している自分がいる。この感情は一体何か?
そんな折、イーサンは部族間のゴタゴタに巻き込まれ、従兄弟の恨みをかってしまう。
その男はイーサンの留守中に屋敷に乗り込む。その様子になんだかおかしいと気づいた彰吾と仲間のアドナンが、子供たちを無事避難させ大事に至らずに済んだ。
イーサンはその相手にしっかりと復讐をし、この国を去ろうと決意する。
子供たちを全員連れていくわけにはいかないから、1人ずつ行き先を考え…
彰吾は手元に置いておくつもりだが、いつ逃げ出すかという不安をずっと抱えていくのはもっと辛い。
イーサンの、彰吾の選んだ結末は。。。
いえいえ、結末は出ずに終わってしまいましたーーーー泣。続編、番外編、出ますよね?
こんな寂しい終わりは想像していなかったです。
でも、最初感じた憤りはほぼなくなり、最後はイーサンの決断に納得しました。
これで彰吾が自らの意思でイーサンと向き合うようになれば、そこからが始まりです。
学校に通ってさらに知識をつけ、大きくなって再会してほしい!と願っています。
あらずじでは触れませんでしたが、彰吾は周りの子たちと”勉強会”をしていました。
ほとんどの子が教育を受けておらず、マナーも持ち合わせていなかったのですが、彰吾が少しずつ教えていきます。
文字、計算、食べ方…などなど。代わりにアラビア語や英語を教えてもらったり、微笑ましいシーンもたくさんありました。
日本にいると義務教育で当たり前、勉強は苦手なんて言葉が漏れたりします。世界には受けたくても受けられない国があることも承知しています。
でも。当たり前ではないことと、学ぶことの楽しさを文章から得ました。
いやいや勉強させられて、成績が悪いとダメな人という空気を感じていた自分にとって、恵まれている事は本質に気づくチャンスを失っているかもしれない、と思いました。
最後に、印象に残ったセリフを引用します。
ー美しいアドナンの言葉ー
イーサンは恵まれすぎていて、何も知らないだけなんだ。
持っているものが多すぎると、必要がないから気づかない。僕なんかは最初から何も持ってないから、小さいことでもすぐ気がつく…。ショウも同じじゃない?失くしてから気づいたものってあるんじゃないかな?