45歳からの腐”活動

主にBL本の読書感想を書いています。たまにソロ活も。

朝日のあたる家 I〜Ⅴ(栗本薫)

こんにちは。八櫻🐰です。今回はシリーズもの。

朝日のあたる家〈1〉 (角川ルビー文庫)

朝日のあたる家〈1〉 (角川ルビー文庫)

人間というものは、なんと無力なのだろう。なんと無知でなんと思いあがっていて、なんと愚かなのだろう。

 

年末から1.5ヶ月で5冊、図書館で借り読み終わりました。以前感想を載せた『翼あるもの』の続編にあたります。

 

fu2katsudover45.hatenablog.jp

 

森田透・トミー(33) ジゴロ、人生に期待していない。

今西良・ジョニー(32) 歌手。GS時代の大スター。

巽竜二 故人。透と付き合っていた俳優。良を好きになり殺された。

風間俊介(45) 作曲家。良を保護的に扱う。

島津(52) 敏腕プロデューサー。透と同居。

 

相変わらずジゴロの生活を続ける透。女にも男にも買われて食い扶持を稼ぐ。

数年の間に島津との関係性が変わり(以前はおもちゃのように扱われていた)、親友のような間柄になり同居していた。

島津は人を愛する信用するなどから最も遠いことのような人物であるが、透との関係はそういったくすぐったい感情を引き出されるものであった。

 

良は風間と同居中。良の周りも認めるところで7年を過ごしたが…お互いの精神的ストレスが最高潮に達し、良は手がつけられないほど暴れる。

風間もどうしたらいいかわからず、良が心を許している透を頼ることにした。

 

良は心も体も限界を迎える中、最初から透に憧れていてずっと好きだったと告白する。

普段は口数の少ない良も、透には全てを打ち明け蓋をしていた気持ちも何もかも話した。

透自身は、良を恨んで殺してしまいたいほどの感情があったはずなのに、裏を返せば憧れている相手だったと気づく。自分を好きだなんて、あの国民的大スターのジョニーに好かれるなんて、信じられない思いだった。

 

心が通じた2人は逃避行の旅に出る(体の関係をもちつつ)。芸能事務所も風間も、あとで何をされるか分からない相手を敵に回してまで逃げたのは、良のどうしても貫きたい思いがあってのことだった。

それは…7年前、透の恋人だった巽を銃で打ち殺したのは自分だという事実。そのためにバンドのメンバーが犠牲になり自殺したこと。全てを明らかにするということ。

そんなことをしたら、せっかく想いが通じ合った2人はすぐに割かれてしまう、透だってイヤだ、行かないでくれ、と言いたい。だがそれをすることは事務所や風間と同じになってしまう。

 

最後は良の意思を尊重し東京へ戻り、すったもんだの末に透は島津に助けられた。良は警察へ。。。

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あらすじが長くなりました^^;

栗本先生はそれぞれの心情を細かく書かれていて、感情移入しやすく深く頷くシーンも多々ありました。会話が続く場面も多く「あのう…そのう…」というような台詞もあり、本当に目の前で話を聞いているような気分になりました。

 

よかれと思ってしたことが相手のためではなかったり、自分の思いを伝えられない苦しさだったり、でもやっぱり人と関わることが大切だったり。様々な思いを抱いた小説でした。

冒頭のセリフは透のもの。頭では知っているけれど愚かなことをしてしまう、自分のことが許せなかったり嫌いだったり。でも、人間というものは皆そういうものかもと思うと気持ちが安らぎます。

 

栗本先生の文章はそんな温かな気持ちにさせてくれました。もうお亡くなりになられ、代表作などは完結していないとのこと。

こちら朝日も『完』との表示はありましたが中途半端な終わりかたとも取れます。その後を書いた「ムーン・リバー」も出版されているようですので、そちらも手にとってみるつもりです。

本当に…完結しているのか知らん???

ちなみに番外編?「東京サーガ<矢代俊一>」シリーズも外伝も電書で発売されているようです。あらーいつ読めるかしら。

 

 

 

ムーン・リヴァー (角川文庫)

ムーン・リヴァー (角川文庫)