45歳からの腐”活動

主にBL本の読書感想を書いています。たまにソロ活も。

箱の中(木原音瀬)

こんにちは。八櫻🐰です。本日は、BL小説家の中で一番好きな作家、木原音瀬先生の作品をご紹介します!

箱の中 【講談社版】 (講談社文庫)

箱の中 【講談社版】 (講談社文庫)

ここに来るのが嫌だから捕まらないようにしよう、(刑務所のやり方では)悪いことをして反省する人は少ないのではないだろうか。(堂野)

木原先生の作品は初めまして、です。

こちらの作品は”BL界の芥川賞”と言われているそうです。

読書数の少ない私は、数冊しか芥川賞作品を読んでいないのですが「心の中に何かが残る」のが文学的作品かな、と感じています。(語彙もなく表現も稚拙ですみません汗)

そしてこちらの『箱の中』はズシンと重く心に響く作品でした。

 

『箱の中』

堂野崇文(30)…強制わいせつ罪(冤罪)で刑務所へ。

喜多川圭(28)…殺人罪

堂野は「この人痴漢です」と女性に言われ、警察に「やっていない」と訴えても犯人にされた。罪を認めれば数万円の罰金ですぐに釈放されるが、どうしても認めたくなかった。やっていないのだから。結局実刑となり刑務所に入ることになってしまう。

職(市役所勤め)も失い、前科がついても、いわれのない罪でも我慢をして刑務所にいた。

雑居房の中では1人じっと何も話さず、関わらないよう孤独に過ごしていたが、やっと心を許せる友人ができた。彼も冤罪だという。出所したら冤罪で苦しむ人と一緒に団体を立ち上げよう、と話を持ちかけられる。しかし…そんな甘い話ではなかった。

 

ここまで、刑務所内の規律や違反行為など、知らないことばかりで興味深かったです。熱があっても薬すらもらえない。余計なものを持っていたら懲罰対象。

印象的である堂野の考えが、冒頭の一文です。問題行動を起こせば懲罰として手足を縛られ拘束され、とにかく痛く酷い目に合う。心のケアでは無いのです。

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堂野はある受刑者の言葉でひどく心が乱れ、暴力を振るってしまう。独居房に拘束され酷い扱いを受けた。雑居房へ戻ったのちもずっと泣いて過ごしていた。そんな時、喜多川が優しく頭を撫でてくれた。

言葉の少ない喜多川だったが、堂野の『ありがとう』が聞きたくて何かと世話をやくようになる。温かな堂野の心に触れるうち、喜多川にとって大切な人となっていく。

布団の中では堂野に触れ、キスをし、愛してると囁く。刑務所を出たら一緒に暮らしたい。

 

喜多川は不幸な生い立ちで、人の優しさに触れたことがない人物。愛情の一途さには可愛さと怖さが見え隠れしています。堂野の喜ぶ顔と声が聞きたいという純粋な心で彼と接しますが、最後には度が過ぎ堂野が出所する時には会えずに別れてしまいます。

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『脆弱な詐欺師』

堂野の出所1年後に喜多川も10年の刑期を終えて出所。執念の堂野探しを始める。

多数の探偵社に探して欲しいと依頼したが、結果は「情報が少なくて探せなかった」と調査が打ち切られる。

調査費用を稼ぐために朝から晩まで体を壊してまで働く喜多川。最後の望みをかけて頼んだ探偵社の大江(48)という男がなんと見つけ出してくれた!!

 

ここには、喜多川と堂野両方と同じ房にいた芝という男が関わってくるのですが、人の縁、心を砕ける相手がいることや人間性について考えさせられました。

4年間探し続けてやっと情報を得、写真を見て大喜びで飛んで行ったのですが…

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『檻の外』

堂野は出所後結婚し娘が1人、職もあり幸せな生活を送っていた。

ある日娘と公園にいると、聞き覚えのある低音の声が。6年ぶりの再会。

喜多川は嬉しくて嬉しくて堂野の手を握り…あれ?その傍に小さな少女がいる。奥さんも紹介された。堂野から今の生活を聞き、その場を去る。

それから数週間後、喜多川は堂野のそばに引っ越して来る。

戸惑いと恐怖を感じる堂野。自分への思いに応えられないけれど大切な友達。寂しい喜多川に温かい気持ちを伝えようと、自分の家族と食事を共にする機会を持つことに。

 

最初は不器用な喜多川でしたが、食事の回を重ねるごとに家庭の温かさに触れ、大きい体躯で絵の上手な喜多川に懐く娘を可愛く思い始めます。

その後なんとも痛々しい事件が起こり、その原因を知った堂野は大きく揺れます。自分のことを一生懸命に思ってくれる喜多川のこと、そんな彼を少しでも疑った自分。それでも心を寄せてくれる一途な気持ち。

もう迷いはありませんでした。そして喜多川の夢は叶ったのです。

 

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さらに「雨の日」「なつやすみ」など短編集があるそうですが、今現在手に入れるのは困難なようです涙 2人のその後、いつか読めるといいなぁ。

 

 

 

翼あるもの 上・下(栗本薫)

こんにちは。八櫻🐰です。今回ご紹介の本は、昭和中頃の話です。

翼あるもの1

翼あるもの (上) (文春文庫 (290‐4))

 

栗本薫先生といえばコレ!という代表作がいくつもあるようですが、私は手に取ったことがなく初めましてです。この本が書かれたのは40年以上前のようですが、その頃にBL要素の入った作品を残されていたことに驚きました。ご本人も前書きあとがきにこのような作品を書く経緯などを書かれていますが、やはり”美少年”はいつの世も憧れであり必要不可欠のようです( ´∀`)

 

今西良(24)…歌手。愛称ジョニー。繊細で美しくセクシー。

森田透(25)…ジョニーのバックバンド、レックスのギタリストでヴォーカル。数年前に脱退。

風間俊介(38)…売れっ子作曲家。ジョニーに好意を寄せる。

巽竜二(33)…俳優。ジョニー主演のドラマで共演。

 

上巻〜生きながらブルースに葬られ〜は、風間視点で描かれる。

良ことジョニーは居るだけで華があり、歌声も抜群。素直で人を疑うことがない、純粋な青年。彼に関わる人々は魅了され、次第に愛情を注ぐようになる。

風間は彼らの大ヒットに欠かせない作曲家で、皆から先生と呼ばれ、良の信頼も厚い。

良を自分のものにするという選択肢はない。それは、彼の危うさや儚さを消してしまう行為で、それが愛情の形であると信じる。

良主演のドラマが決まり、さらに良を世間に晒すことに抵抗を感じる風間だったが、そんなことよりも重大なことが起こってしまう。

共演者の巽が良に好意を抱いている…様子。そして巽も風間と良の関係が何か探りを入れてくる。

 

2人が早朝に対峙するこのシーン、迫るものがありました。お互いに一歩も譲らない。特に巽は自分はこう考えこう行動する、と宣言しそれを行動に移して行きます。

風間は守る愛なので堪えることしかできず、どうしても渡したくないと歯がゆい思いをします。

この先2人の攻防が続きますが、風間の思いを読んでいると辛く、ここまで我慢をするのか?と息切れがします。

…そして衝撃の結末へ。

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翼あるもの (下) (文春文庫 (290‐5))

翼あるもの (下) (文春文庫 (290‐5))

下巻〜殺意〜は、森田視点。時間軸は上巻とほぼ並行している。

透(愛称トミー)は、細身で色白、整った顔。歌もそこそこ歌えるがレックスでは圧倒的存在の良の隣で悩んでいた。脱退後は鳴かず飛ばずで芸能活動から遠ざかっていた。

食いぶちは”体を売ること”。そんな中あるバーで巽と出会う。

透はいつも生気のない態度で巽を困らせていた。透の口からは”ジョニー”という言葉ばかり出てくる。

巽は任侠映画に出るような強面の俳優だが、素はとても紳士的で優しく温かみのある男性。透の言動も徐々に変わりお互い相手を深く想うようになっていく。

ところが良と仕事をするようになった巽の気持ちは変化していく。

 

巽さんという人物がとても魅力的で、登場人物の中で一番好きです。不器用が故に残酷でもありますが、心を偽ることもしないまっすぐさに熱くなりました。

しかし透があまりにもかわいそうで苦しくなります。こういう人間もいるということを教えてくれているのですが、報われないことが多くそれが身から出た錆なのか?と考えるといたたまれなくなりました。

その後透の再起の話が浮上し、やらせ番組に出演するという流れが出てきます。続編と言われる『朝日のあたる家』も気になります。良と透がどのようになっていくのでしょうか。

 

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公衆電話、タバコ、強いお酒…時代ゆえの表現や言い回しもありましたが、なんだかそれが心地いい作品でした。

前書きにも著者が書かれていましたが、上巻は特に読書初心者の私には読みにくかったです^^;

しかし心を揺さぶられるシーンが多々ありました。

栗本先生の他の作品も読んでみたいと思いました。

 

 

 

 

異世界の沙汰は社畜次第1〜3(八月八)

こんにちは。八櫻🐰です。本日はこちら。

異世界の沙汰は社畜次第 聖女召喚改善計画

異世界の沙汰は社畜次第 聖女召喚改善計画

BLにハマる前から、どこかで聞いたことがあるタイトル。評価も高い!ということで購入したのですが、なかなか手をつけることができずにいました。

ところが読み始めたところ、とても面白くて一気読み!止まらなくなり連日の夜更かしコース汗

 

近藤誠一郎(29)…仕事人間。いわゆる社畜。聖女召喚に巻き込まれて異世界へ。

アレシュ(22)…ロマーニ王国第3騎士団長。

 

誠一郎は休日出勤の帰りに女子高生が渦のような何かに引き込まれていくのを目撃し、思わず手を取ってしまう。異世界にあるロマーニ王国という場所に引き込まれる。この国は瘴気浄化のため”聖女”を必要とし、それがたまたま誠一郎の目の前で連れ去られた女子高生だった。

聖女は役目があるため、召喚時に魔法や耐性などを得ていたようだが、巻き込まれただけの誠一郎は魔素・魔力に耐性のないまま召喚されてしまった様子。

 

誠一郎はじっとしているより仕事をしている方がいい、と前職でしていた経理の仕事を得ます。そこはただハンコを押すだけの「横流し課」と言われるほどの部署だったのですが…ここで力を発揮して次々改革を打ち出していきます。

急にきた異世界人にそこまで心を許せるのかな?とか、反発がもっとないのかな?とも思いますが、何事も一生懸命に進んでいれば誰かが見てくれている、ということでしょうか。

セイさんは本当に仕事ができる人のようです。

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魔素は飲食物、特に嗜好品に多く、さらには空気中にも含まれている。国民は幼児から魔素や魔力に触れているため、耐性がない人はほぼいない。

耐性のないと誠一郎はついに倒れてしまい、死ぬかもしれない…というところをアレシュに助けられる。

 

魔力酔いを浄化するのには、接触やいたすことが必要、のようでアレシュと関係を持ちます。その後も危なっかしいセイさんの世話をやいているうち、誠一郎を誰にも渡したくない、と思うようになり。。。

誠一郎本人は無理をしてでも仕事をこなし、アレシュに怒られ、それでも次々抱え込み、、、そんなに働けるってすごいなぁと関心します。誠一郎は国を良くするためではなく、自分が働きやすいように考えているだけのようです、が。なるほど。

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異世界から聖女を召喚したという王国の意見だが、今後も同じようなことが起きないために瘴気の元に結界を張り、鎮めることはできないかと誠一郎は提案する。聖女なしでも浄化できる方法を考えた。遠征にも浄化にも多額の費用がかかるため、その回数や無駄を省くことも考慮に入れて。まだ試用段階ではあるが、瘴気の問題も落ち着いた。

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異世界の沙汰は社畜次第2 教会運営支援計画【電子特別版】

異世界の沙汰は社畜次第2 教会運営支援計画【電子特別版】

遠征後、今度は教会の収支について調べることになった。膨大な魔力を有する場所に行くには、アレシュに結界を念入りに張ってもらわねばならない。

この頃にはアレシュが自分の屋敷を構え、誠一郎との同居生活が始まっていた。

いつか元の世界に帰る日のことを考えると、アレシュからの気持ちに応えることの意味も考えなくてはならない。

 

いつも冷静で感情を表に表さないセイさんなのですが、心を鷲掴みにされるようなきゅんな言動をするアレシュを可愛いと思い、実は全てを欲しいと思っているのです。その心の変化は分かりづらく、仕事ばかりしているような???

その後も教会での騒動で魔力酔いをおこし入院したり、聖女が王子と共に教会内に市民のための学校を開くのを手伝ったり、と忙しく過ぎていきます。

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異世界の沙汰は社畜次第3 魔法外交正常化計画

異世界の沙汰は社畜次第3 魔法外交正常化計画

北方にある寒い国、エゴロヴァ。寒い国ならではか魔導師が多く存在し、魔法では最先端の国。第3王子がロマーニ王国を訪ねてきた。目的は”魔法””婚約”などあったが、まずは様子を見にきた様子。

元の世界に帰れるようロマーニでも転移魔法の研究を進めている最中であり、技術を学ぶ機会を得ることに誠一郎は喜ぶ。そして、様々な資料を作り把握している人物ということで重要な人員に選ばれる。

 

いつも冷静沈着で何が必要かわかっている誠一郎に興味を持った第3王子のラーシュ。誠一郎はとにかくモテるのです。

アレシュは誠一郎をつなぎとめておきたくて婚約の証を(無断で!)身につけさせたり、それが元で実家に呼ばれたり、エゴロヴァとは別の関係を持ったり、と忙しい日々を過ごします。

3巻は2人でいる時間が少なかった、かも。それでも誠一郎から愛情をぶつけるシーンもあり、萌えでした。

 

転移魔法がうまくいったのか、誠一郎は帰ってしまうのか、どんな決断をしたのでしょうか。とにかく。。。アレシュを深く想っていることは確かです(^ ^)

とても読みやすく、異世界に身を置いている気分になる楽しいお話でした!

大橋キッカ先生のイラストもステキ✨表紙で2人の変化が描かれています。3巻では指輪はめてる〜(*≧∀≦*)

 

 

 

 

 

交渉人シリーズ1・2(榎田尤利)

こんにちは。八櫻🐰です。本日はこちら。

交渉人は黙らない 【イラスト付】 交渉人シリーズ (SHY NOVELS)

交渉人は黙らない 【イラスト付】 交渉人シリーズ (SHY NOVELS)

交渉人は疑わない 【イラスト付】 交渉人シリーズ (SHY NOVELS)

交渉人は疑わない 【イラスト付】 交渉人シリーズ (SHY NOVELS)

どんな小さなトラブルでも、当人にとっては大きな問題であり、心痛の糧となるのだ。(〜疑わない〜より)

 

榎田先生の作品を読んでみたい!とずっと思っていました。まだBL作品に出会えていなかった頃、唯一交渉人シリーズがヒットしました。それから数年…やっとやっと読めました!

 

芽吹章(32)… 元検事、元弁護士、現在交渉人。彼女なし。

兵頭寿悦(31)… 暴力団周防組若頭。同性愛者。

2人の出会いは高校時代。兵頭は同級生の馬場が芽吹先輩を狙っているとわかり、守るために好きでもない馬場とつるんでいた。

何も知らない芽吹はガラの悪い2人が好きにはなれず、ただの後輩として遠巻きにみていた。

時は過ぎ大人になり。。。芽吹が交渉人としてオフィスを構えたのが周防組の息のかかった場所だった。

ずっとずっと好きで、諦めようとしたのに、目の前に現れた”先輩”。「俺のオンナになってください」

芽吹は暴力団が大嫌い!兵頭は嫌いじゃないけれど…こんな複雑な心境の中、2人の関係は深くなっていく。

 

『黙らない〜』は主に高校での出会いや、芽吹が検事も弁護士もやめて交渉人になった経緯、高校の時馬場と名乗っていた男が鵜沢と名を変え、鵜沢組(周防とは親分同士が兄弟)のナンバー2で無茶苦茶な行動をしていること➡︎これが兵頭が芽吹の前に現れた大きな理由。

交渉人として兵頭から依頼を受け、時には親分の家にまで上がり込み危険な仕事もこなす芽吹。先輩を守るために行動する兵頭。とっても男気のあるお話でした。

 

『疑わない〜』は”依頼人を信じる”これにつきます。相手が今までどんな行いをしていても、変わろうとしている人間を信じ見捨てない。最後まで守ってみせる心意気はぐっときます。

 

冒頭にあるように、人はそれぞれに複雑で様々な悩みを抱えています。「あなたにはこの気持ちわからないよね」という発言は慎むべきだなーと思いました。

相手からこのセリフを言われたら、、、どう対処しよう、、、何を言われても相手の問題と割り切って笑顔でやり過ごす、わたしの夢です。

 

はてさて、このシリーズはあと7冊出ているようです。アーーーすぐにでも読みたい☆でもでも、割引時期にどっど〜んと買おうと考えています。読んでいない本が山積みなので、そちらから楽しもう。電子書籍はかさばらなく良いですが、そのぶんどれだけ持っているかもわかりづらいですよね。購入するはいいけどまだ読んでいない小説、30冊ほど😯あ、中には読んだら終わっちゃうから読めないーってのもありますです。

 

今週は図書館でも榎田先生の本を借りているので、楽しみが止まりません。ちなみに交渉人シリーズは図書館には置いていないようです。BLは内容にもよるのかな?2000年前後など古い作品は所蔵しているようですが、種類が豊富じゃないのでやっぱりいつでも読める電子書籍は手放せません。

 

本の感想から逸れてしまいましたね汗。次回の交渉人まで…またいつか。

 

 

 

 

毒を喰らわば皿まで〜その林檎は齧るな〜(十河)

こんにちは。八櫻🐰です。

近頃漫画ばかり手にしており、更新が滞っていました。本日はこちら。

毒を喰らわば皿まで ~その林檎は齧るな~ (アンダルシュノベルズ)

毒を喰らわば皿まで ~その林檎は齧るな~ (アンダルシュノベルズ)

『毒を喰らわば皿まで』シリーズ第二弾です。1冊目で完結しているので( ;  ; )続きという訳ではなく途中のお話です。第三弾もそんな感じなのかな?

相変わらずの描写力、しっかりしたストーリー、無駄のない登場人物の動き。どれをとっても本当に素晴らしい作品です。

 

ユジンナ大陸にあるパルセミス王国の元宰相アンドリム。見た目は若々しく20代といえる。

前世の”俺”が乙女ゲームの世界と同じだと気付いた瞬間から、悪役に転生した自分の未来と話の結末を変えるべく策を練る。

一段落ついた後、家系にかけたれた呪いを解くために旅に出る決心をした。前世の俺が生まれ育った日本と似た国”ヒノエ”が鍵になると推測するアンドリム。

大陸の西にあるパルセミス王国と東の端にあるヒノエ。どのように進むか思案しているところにヒノエより使者がやって来る。なんと国主モトナリの息子たちであった。

 

アンドリムはさすがの推理力と話術で相手を翻弄していきます。う〜ん色っぽいんです、眼鏡をクイッと上げる仕草やスルッとした指が🌟

第4王子でありながら継承権上位でいまだ10歳のシラユキは”姫”として振る舞いますが、その中に抱えるものまでも見抜き、彼らを助ける道を選びます。

もちろん、ヒノエで呪いを解く鍵を見つけるのも目的の一つですが、ヤマタノオロチ討伐となんとも壮大なミッションを伴うことになりました。

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パルセミスとヒノエの中間にあるリサルサロスという国。いい仲ではなかったが、国王をもまた手中に収め、旅を進める一行。ヒノエにつくまでも数々の困難を乗り越えていく。

 

サルサロスの王もまた側近の近衛兵タイガと恋人です。両片思いを取り持ったのもアンドリム。

アンドリムのすごいところは、相手が欲するものを見抜き、それを目の前にはいどうぞとするのではなく自ら選ぶように仕向けることです。本人は欲しているので必ず得ようとしますし、出した結果に満たされます。

実はその裏に、こちらの都合が良くなるような画策があるのですが、相手は騙されたとは思いません。

導く人とはこのような人なのでしょう。こうやって自分をプロデュースできればいいですね!

 

さて、その後ヒノエに着いてシラユキは父モトナリと対峙します。

治癒魔法まで手に入れたシラユキ。民衆の前でも認められた存在となり、10歳にして国主となりました。

そして…最後の最後に驚きの話が。。。私のおつむではそこまで予想できませんでした。

締めくくりの一文にはゾッときました。シリーズ3冊目もまた楽しみです。

 

 

 

fu2katsudover45.hatenablog.jp

 

 

〜BL沼について〜

こんにちは。八櫻🐰です。

本日は個人的なこと。BLに出会ってから今までどんなことを思い考えたか、などなど書きます。

 

〜〜なぜBLにはまった??〜〜

プロフィールでも触れていますが、改めて記します。

数年前からドラマやアニメでBがLする作品を目にする機会が増え、なんかいいなぁキュンキュンする❤︎って思いながら観ていました。

このキュンの正体は何か?もっとたくさん見たい、知りたいと思うようになりました。

個人的な意見ですが、男女だと現実味がわくところも男性同士だと妄想力が働く、と言うのでしょうか。えちシーンも含めて妙ないやらしさを感じない、と思います。(いえ、、、いやらしいシーンは大好物でありますのですがw)

ほとんどのカプは器量良し、頭よし、素直で恥ずかしがり屋、背が高い、目立つほどのイケメン、社長だったり王族だったり…華やかな世界です。

そんな異世界とも言うべき世界に身を置く時間もキュンなのかな。

 

〜〜はまり始めたら〜〜

えと〜BLって言うの?腐女子ってなに??ほどの無知で、その他専門用語などポカンの自分ですが、調べているうち三浦しおん先生の「月魚」に行き着きました。

内容は、仲のいい2人という以上は描かれていません。(ご想像にお任せします?なのかな。におわせデス)

ですが、ん〜〜もっとこう恋愛的な物を読んでみたかったのです。

当時電子書籍に馴染みがなかったこともあり、本屋さんでの購入を前提に調べていたのも見つけられなかった原因かもしれません。

そして数年が過ぎ。。。

30歳まで童貞〜、佐々木と宮野、などを観たことで再燃。うずうず。ここから沼生活の始まりです。ズドン。。。

キラーン✨見つけましたよぉ。こんなにたくさん作品があるなんて、ずっとずっと前からあったなんて。なぜ今まで知らなかったの???人生損した気分。心から楽しくなる趣味を見つけた瞬間でした。ワクワク

と言うのが2022年春のお話。それから数百冊を超える読書が始まります。

 

〜〜追記(2023/05/24)〜〜

半年くらい経ったのち、図書館で借りられる作品もある!と知るや検索しまくりました。

さすがに新しい本は置いていないのですが、昭和〜平成に出版されたビーボーイノベルスやディアプラス文庫など。数はそう多くないですが、ひと昔前の作品も読めるーと上がり↑↑ました。

中でも驚いたのが、学生時代に好きだったあさぎり夕先生がBL小説を書かれていたこと。え?漫画家ではないの?小説も書かれてたんだ、知らなかったー。

 

そして1978年出版の竹宮恵子先生の『風と木の詩』。とっても悲しい物語だったけれど、古さを全く感じない絵と、しっかりした人物の描きかたに魅せられ、読後は寂しくぽっかり穴が空いたように感じました。

 

栗本薫先生「朝日のあたる家」、山崎紫姫子先生「虹の麗人」、木原音瀬先生「箱の中」、皆川博子先生「開かせていただきます」、月村奎先生「wish」…などなど

中でも木原先生の本は蔵書数が少ないながらも全て手に取るつもりでいます。

 

本を読むのが苦手な私が図書館に足繁く通うことになり、幼少期に(謎の⁉︎)親から禁止されていた漫画を読み漁るという毎日を過ごしています。

本当に。少し前の自分では考えられないくらい変わりました。

口元は優しく微笑んでみよう。心置きなく読みたいから、やることをやってから思いっきり浸ろう。自分なりに緩急が付けられるようになりました。

そして、何度挑戦しても続かなかったブログ、マイペースなりに記事を書き続けています😆

 

愚痴っぽいところ、非難する思考。それに支配される時間が多く、なぜこんな自分なのかを分析・改善しようとばかりしていたけれど、この趣味を続ける上では必要ないな〜と気づきました。

とにかく健康でいられればいいのです!

この年齢になって、うきうきな幸せに出会えたことが奇跡で感謝しかないと感じています。人生であと何作品出会えるかな。。。

大げさかしら??そーいうの、”老害”って言われそう笑

 

 

はなれがたいけもの(八十庭たづ)

こんにちは。八櫻🐰です!今回は完結していないシリーズものです。

はなれがたいけもの(1)【イラスト入り】

はなれがたいけもの(1)【イラスト入り】

既刊5冊をノベルズで手に入れました。ずっと紙の本で欲しいと思っていました!二段に分かれていて読み応えがありました。個人的な意見ですが、改行が多いので紙の方が読みやすいかも?と思いました。

 

自分の身は自分で守る

自分の食べ物は自分で調達する

自分の衣服は自分で買いそろえる

自分の生活は自分で維持する(ディリヤ)

 

ディリヤ…赤毛赤い目を持つ人間アスリフ族。自分の身を立てるため、戦争中は諜報員などをしていた。

ユドハ…金狼族。兄スルド亡き後の国王代理。優しく逞しいオス。

アシュ…ディリヤの子。素直でかわいい男の子。容姿は金狼族。

 

戦争中ディリヤは刺客として敵(金狼族)の内部に侵入し、王に体を預けることで油断させ暗殺せよ、との命を受けていた。

しかし暗殺はできず、子を宿してしまう。それから6年、ディリヤは1人で子を産み慈しんで育てていた。

一方ユドハは赤毛のアスリフ族を必死になって探し続けたが、祖母に当たる太皇太后に先を越されディリヤたちを奪われてしまう。

ユドハは誠実で平等な政治をしようとする一方、太皇太后は昔からの勢力に頼り偏った考えを持っていた。もちろん人間を信用しない彼女はディリヤを認めず、孫のアシュをかわいいとも思わない。

お城に連れてこられたことで行き場を失いかけたディリアだったが、ユドハとその姉エドナの深い理解の元で守られ、徐々に心を開いていくようになる。

 

アシュの父親に関してはここでは伏せようと思います。ユドハの思いが届きますように。ディリヤが幸せになりますように。そう思いながら読んでいました。

1巻ではその両方が満たされ満足です(^-^)

冒頭の引用は、ディリヤがユドハに今まで自分はこうして生きてきたのに、ユドハのそばにいると甘えてしまう、という場面でつぶやきます。

いちいち自分に置き換えることもないのですが…全くできていないなぁと情けなくなります。基本ですよね。頼ることが当たり前の考えで我ながら恐ろしいなと思いました。

 

ここでお話しは一区切りついた感じですが、家族も増えたことですし次巻以降は子どものお話、王位継承の話、などがメインになるのかな。

 

ここで謎の、、、『読んだら終わってしまう』心境になり、2巻へ進めずにいます汗

みやしろ先生の緑土なすもそうなのですが、読もうと手に取り…読み始め…う〜〜〜んやっぱりまだだめ!と閉じてしまうのです。

モッタイナイ感じがしてしまうのです。

読まずに積み本が増えていくばかりですが、”いまでしょ!”という気分になったら手に取ろうと思っています。

はなれがたい、はまだまだ続くようです❤︎佐々木久美子先生の絵ももふもふの感じがたまらなく良きです。

 

 

パブリックスクール1・2(樋口美沙緒)

こんにちは。八櫻🐰です。本日はこちら。

パブリックスクール ―檻の中の王― (キャラ文庫)

パブリックスクール ―檻の中の王― (キャラ文庫)

現在6巻まで発売していますが、今回は1、2巻の感想です。

はじめに、パブリックスクールとは…

中世ラテン文法学校を起源とするイギリスの寄宿制の私立中等学校

だそうです。高貴な香りがプンプンしますね!

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1=檻の中の王=

中原礼(16)イギリス人の父親を持つ。12歳まで日本で育つ。

エドワード・グラームズ(18)貴族。この上なく優秀。礼の父親が祖父にあたる。

礼は翻訳の仕事をする母親と2人で日本で暮らす。忙しい母を困らせない事、幸せにしてあげることを思い日々を過ごしていた。

そんな時、母親が亡くなり礼は1人になってしまう。

身寄りもない中、母の遺言である”手紙を投函すること”を行うと、数日して”イギリス”から迎えがやってきた。詳しくは知らない父親からの連絡だと思い、家族になれる人がいるならと英国に行く決意をする。

しかし…父親は他界したという。その息子と名乗る(母親より幾分年上の)男性とその妻に迎え入れられ、あなたを保護すると言われる。

その2人には手を焼いている一人息子のエドワードがいた。

屋敷での生活は英語も十分に理解できない礼には寂しい場所で、エドだけが寄り添ってくれた。でもエドパブリックスクールに通っているため、長期休暇の時にしか会えない。

学校に通っていていじめにあっても守ってくれる人はいない。売春婦のこどもだと蔑まれ、反論しても味方になってくれる人はいない。貴族の青い血を汚した、と言われる。

 

それでもエドを好きになったことで自分は生きている甲斐があると希望を見出す。

それなのに。エドは自分のいるスクールに来てはいけない、日本に帰れ、裏切ったら許さない、と礼を突き放す。

礼はエドと離れるなんてできない、約束を破ってパブリックスクールに入学してしまう。

ここからが地獄の始まり。エドは2度と許さないと礼にきつくあたる。誰とも喋るな、目立つ事はするな、1人でいろ。自分が卒業したら日本に帰れ。

エド自身はプリフェクトで寮の代表。これは優秀な学生のみに与えられ将来が約束されるほどの地位。

表向き礼はエドの義理弟ということになっているので、どうしたって目立ってしまうから、とにかく静かに人と関わらずに生活するしかない。

 

そんななか礼は、絵の才能があるからと舞台美術の授業に参加するようオーランドという先輩から誘いを受ける。

エドは絶対に許してくれないだろうが、自分も変わる時だ、エドを諦める時だと勇気を振り絞って参加することに。

それからは礼も楽しくて、やっと笑えるようになった。人と関わり必要とされること。誰かの助けになること。充実した気持ちで溢れていたところ、エドに引き戻されてしまう。またお前は俺を裏切るのかと。

礼は意を決して、授業に参加したいしもうエドに愛されたいなんて贅沢言わず諦めると伝える。そこからエドの怒りは頂点に達し!礼は犯されるように抱かれてしまう。

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パブリックスクール ―群れを出た小鳥― (キャラ文庫)

パブリックスクール ―群れを出た小鳥― (キャラ文庫)

2=群れを出た小鳥=

礼とエドは狂ったように体を重ねる(それでも礼は、エドは腹いせに僕を抱いているのだろうと考える)。

少しずつ心が柔軟になる礼。エドは怖いしいつも怒っているようだけれど、優しいって知っているし、自分の知らない部分もたくさんあるだろうし、きっと少しくらい自分のことを愛してくれている。

舞台の授業に出て人と関わることで、礼の世界もグンと広がって行く。

 

う〜〜〜ん。それでも、エドが自分を好きだとは思えない礼くん。確かにエドの抱き方は強姦に近かったですが、キスもしてくれたのに愛だとは思えないなんて。

貴族の一人息子で子孫を残すためにも将来必ず結婚するし、人気者のエドが好きになってくれるなんて思い上がり、云々考えたら気持ちにストップがかかってしまうかもしれません。

それでも、2巻の前半で少ししんどくなってしまいました。礼くん、そこまで思い込まなくてもいいんじゃない?

とはいえ”かわいい”とどこでも人の目を奪う礼くん、モテモテなのです。性格も可愛くて頭も良くて。いい子って可愛い。見習おうと思います。

 

とうとうお別れの日。エドはスクールを卒業し、礼は日本へ帰国します。

そしてーーー月日は流れて8年後へ舞台は移ります。

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礼は美術関連の会社に勤めている。マルチリンガルの礼は翻訳や通訳などで大忙しの日々。東京のど真ん中、エドと…偶然会えたらなんて期待もしながら。

そんなある日エドが礼の会社にやって来た!驚きと喜びで胸がいっぱいに。卒業してからこれまで一度も連絡をしなかったのだから。

そして再会後は毎日メールや電話をするようになる。

それでも礼はまだエドが自分を愛してくれているとは思えない。その上自分の行動の甘さから、知り合いの男性に無理やり押し倒される事件が起きる。

エドがそんな礼を必死で守り、すれ違いばかりだった2人が最後はハッピーエンドに❤︎

 

結局言わないと通じない、ということでしょうか。推し量ることはできる、けれどもそれが違っていたら相手が迷惑だし自分も惨めになる、ということかな?

同性愛だと余計にその考えは常にあるのだと思います(この場合近親でもあるし)。言葉で表さない優しさ、ゆえにもどかしい。

自身は口から生まれて来た、思ったことを考えなしに口にしてしまい、いつも言い過ぎたと反省します。もう少し自分の考えに自信を持ち、相手の心を推しはかる行動をとりたい。自分を守る発言を繰り返すのはやめよう。

 

2巻まであっという間でした。yocoせんせの絵も繊細で大好きです!

長文おつきあいいただきありがとうございました!